|
|
|
|
それは、これを身につけているのが、
神仏であれ、私たち人間であれ、
あるいはモノであれ、
私たちに歓びと希望を与えてくれる
「光」なのだと思います。 |
|
阿修羅は、神秘な宝石を身につけ、
光を人々のからだと心に降り注ぎ、
活力を与えてきたのです。
その全身をもってけなげに、
このアジア世界の東端の
日本で輝いてきたのです。 |
|
ジュエリー。それは個人の肖像画や、
一体の仏像の首や胸に留まっているように
見えながら、じつは、みんなのための
「希望の光」そのものなのです。 |
|
二次的なものと思われがちな
「飾り」や「ジュエリー」の視点から
阿修羅を観察すると、そのきらきらした
美しさ、デザインは、こんなにも広く深い
「世界性」をもっていたのだということに、
すこしでも気づいていただけたら幸いです。 |
|
|
美術文明史研究家であり、
ケルト芸術文化研究家として名を馳せる、
鶴岡真弓先生による本書は、
一目見ようと多くの人が列をなす
大人気の国宝「阿修羅」像を、
その身がまとうネックレス、ブレスレット、
花柄の巻きスカートなどの「装飾デザイン」などに注目、
そしてそのルーツをもとめていきます。
その旅は、聖母マリア、ルネサンスの貴婦人、
近代絵画の「サロメ」
はたまたシュリーマンの財宝などなど。
その結びつきの見事なまでの常識破りに魅了されつつ、
ぐわっと目が開かされます。
またその旅はさらに時と場所を越えて、
シルクロード、日本、西域、インド、ペルシャ、
トルコ、イタリアなどなどへと、まさしく縦横無尽です。
「阿修羅」像を見るとき、
だれがその忘れられ、見逃されてきた「装飾する魂」に、
気がつくことができたでしょうか。
阿修羅像の見方がひっくり返る、
まさしく驚愕への招待です。
誰もが知る「キラキラ」への憧れ、
「ツィンクル・ツィンクル・
リトル・スター」の歌で幕が開く、
鶴岡先生の驚くべき軽快で、驚くべき奥行きのある、
もうひとつの阿修羅の世界へ、ようこそ!!
(編集担当・畑中章宏+清水檀)
|
2010-06-01-TUE
|
|
(C)Hobo Nikkan Itoi Shinbun
|